RADIO CLUB
みんなでチェック非常時の備え
周南エリアのまちづくりを語る、年に1度の特別番組。11回目のテーマは防災です。クロストークの抜粋をお届けします。

防府市新田。工事現場の安全用品から、防災用品の専門店とレンタルサービスへ。

ロードサービスの現場から、車での避難と被災地支援で感じたことを話します。

パッククッキングで、災害時でも温かい食事を。オンライン教室は海外からも参加があります。
防災用品と備え
地震や大雨、台風。災害のニュースが増えるいま、まず思い浮かぶ備えは非常持ち出し袋でしょうか。2024年元日の能登半島地震のあと、タイガー安全にも休み明けからお客さまが増えたといいます。意識が変わってきている、と増田さんは見ています。
もともとは工事現場の安全用品を扱う会社です。3年ほど前、防府市新田へ本社を移したのをきっかけに、地域貢献と防災意識のきっかけづくりとして、防災用品の専門店を併設しました。山口県ではまだ少ない店舗で、防府市以外の遠方からも人が訪れます。
レンタルサービス「防災安心BOX」
備蓄は「自分で買って備える」イメージが強いものです。ところが賞味期限が長いからこそ、気づいたら切れていた、何を買えばいいか分からない、という声は少なくありません。
そこで始めたのが、個人向けの定額レンタルです。1人分・3日分のセットが月々500円。3年後に新しいセットが自宅に届きます。返却は不要です。セットの賞味期限はおよそ4年なので、置いておいても、家族で試食しても構いません。
「備蓄しても、賞味期限が切れたら意味がない。これだと、切らすことはないです」
増田さん
賞味期限は基本5年のものが多く、水やパンでは7年のものもあります。レンタル用品に、自分で必要なものを足すカスタムも自由です。
冬なら圧縮毛布などの防寒、発熱材で食品を温めるもの、お湯を沸かせるもの。自宅避難でも、少しでも快適に過ごせる工夫です。非常食は、普段の冷凍食品とは味が違います。一度食べて、子どもや自分の口に合うものを備えるのがいちばん、と増田さん。
避難で大変なこと「トイレ」
備蓄というと、まず食料を思い浮かべがちです。ただ、食べたら出したくなる。衛生面を考え、簡易トイレは家族の人数分が必要です。人は1日5回トイレに行くと言われます。その計算で備えましょう。手のひらサイズでコンパクト、凝固剤と袋がセットになったものを、リュックや車に置いておく。ドライブの渋滞でも使えます。500mlペットボトル1本は余裕で吸い、1ℓでも吸収するものがあります。
便利グッズと、進化している非常食
山口県は台風や大雨の心配が大きい土地です。水害で車が浸かるとドアが開かなくなることがあります。窓ガラスを割るハンマーと、シートベルトを切るカッターがセットになったものを、車に1つ。心のお守りになるかもしれない、と増田さん。
小さな子ども向けには、たべっ子どうぶつやパンダのイラストなど、パッケージがかわいい非常食もあります。卵不使用など、アレルギーに配慮したものも。高齢の方には、噛めない方向けのミキサー食のような非常食も出てきています。
車と被災地
JAF山口支部徳山基地で責任者を務める齋藤さんは、主にロードサービスに出ています。災害で特に印象に残っているのが、8年前の熊本地震。支援に入ると、道路は隆起し、建物は崩れ、冠水もある。事前に聞いてはいても、自分で経験するとこれほど大変なのか、と驚いたといいます。
滞在は2泊3日。作業の大半は、道路の隆起によるタイヤのパンクでした。近年はスペアタイヤを積む車が少なく、現場で応急処置できないことも多い。レッカーで運ぶことが増え、修理工場も車で溢れかえっていました。
齋藤さん自身が実感したのは、断水の影響です。泊まっていたホテルも地震で断水し、お風呂に入れない。汗をかいたまま寝るので、疲れも溜まります。応援は短期間でも、被災した人はずっとそこにいなければならない。それがすごく大変だと思った、と話します。
車中泊で気をつけること
車は電源も取れ、エアコンもある。役に立つ面はあります。ただ狭い座席に長く座ると、エコノミー症候群の心配が出てきます。外に出て軽くストレッチする、体を動かすことが大切です。もうひとつ重要なのが、トイレの確保です。
車内で火を使っての調理はおすすめしません。一酸化炭素が出るからです。ハイブリッドやEVなら家庭用の100Vコンセントが付いていることが多く、電気コンロなら火の危険は下がります。増田さんが紹介した発熱材で食品を温める方法は、一瞬熱が出るだけなので車内でも安心で、廃棄も簡単です。
運転中に災害が起きたら
まずは自分の安全を確保すること。車で避難できるなら、最新の注意を払って運転します。ただし渋滞の恐れがあり、車での避難を推奨できない場合もあります。大雨のときは、冠水した道路を避けてください。
JAFのテストでは、水深60cmの場所を時速10kmで動いてもエンジンが止まりました。歩く速さでも、です。アンダーパスなど、水が溜まりやすい場所には特に注意してください。
地震のときは道路が隆起することがあるので、パンクにも十分気をつけて運転してください。車が動かず置いていくときは、慌てずに鍵を付けたままにします。緊急車両が通るとき、鍵がないとよけることができないからです。
歩いて避難するときは、ポケットサイズのラジオ、軍手、懐中電灯があると重宝します。
パッククッキング
藤田さんは、防災にも役立つ料理教室をオンラインで開いています。使うのはパッククッキング。耐熱性のポリ袋に食材を入れ、湯煎して作る調理法です。
災害時でも温かい食事ができること。真空調理に近いので味が染み込みやすく、普段の料理と同じくらいおいしくできること。食べ慣れた食材を使えるのは、心の面でも大きい、と藤田さん。
いちばんのメリットは、水の節約です。災害時に水はとても大切。洗い物が出ず、湯煎したあとのお湯は洗い物や生活用水にも使えます。袋は量販店で手に入り、よく知られる「アイラップ」なら120円ほど。増田さんのお母さまも日常の料理で使っているそうで、災害に特化せず、時短にもなる方法です。
袋の上を開けて広げれば、そのままラップ代わりにもなります。藤田さん自身、昼ごはんはポリ袋から直接食べていることもあるとか。残ったら閉じて冷蔵庫へ。洗わなくていい、という利点です。
避難時のアレルギー対策
子どもは噛み切れなかったり、硬すぎて喉に詰まったりする心配があります。パッククッキングは、柔らかい食事を作るのにも向いています。アレルギーのある人も、対応した食事を自分で作れます。市販の非常食と組み合わせて備えておくと、より心強いでしょう。
水は代わりになるものがありません。大人1日3ℓ×3日分の備蓄は必要です。藤田さんのご家庭は10人家族で、必要な水量は相当な数になります。水分が足りないと、齋藤さんの話にもあったエコノミー症候群の可能性もある。水は必ず確保しておきたいものです。
「アレルギーの有無を確認することはとても大事。気が動転してうまく伝えられないこともあるので、書いて身につけておくか、非常袋に入れておく。めちゃくちゃ重要だと思います」
藤田恵美子さんタイガー安全では、「リュックの中に入れておくといいものリスト」をオリジナルで作っています。食べ物、飲み物、薬、家族の写真、その人にどうしても必要なもの。書いてあるものがあると、避難する側にも、助ける側にも、道が開けやすくなります。
ゲストから
クロストークのあと、3人から一言ずついただきました。
防災備蓄の話はお客さまとすることが多いけれど、車や料理の面からも学べた。学んだことを、これから発信していきたい。
食べ物や災害用品について聞くことができ、ためになった。またこういう機会があれば、ぜひ参加したい。
備えておくことが、改めて大切だと感じた。あとは行動すること。今日学んだことを、たくさんの人に広めていきたい。
備える心を、改めて持ちました。みなさんも、いい機会にしていただければと思います。
備えておくこと。そして、行動すること。
ラジオくらぶ特別号 激熱トーク放送:ラジオくらぶ特別号「みんなでチェック 非常時の備え」(2024年5月18日)
ゲスト:増田麻乃さん(タイガー安全)/齋藤誠志郎さん(JAF山口支部 徳山基地(2024年出演当時))/藤田恵美子さん(管理栄養士・防災士)