しゅうなんFMのマスコット マイキー
しゅうなんFM 78.4MHz
防 災 ナビ
ペット防災

FEATURE

ペット防災

大切な家族であるペットと、どう備えて、どう逃げるか。空振りを恐れず、一緒に避難する行動をとるために。

防災リュックと動物支援ナースのベストのそばに座るミニチュアシュナウザー
ペットの防災は、飼い主の備えから。日頃の関係づくりも、大事な準備です。

地震、大雨、台風…災害が起こったとき、自分たちの避難場所やグッズは確認、用意していても、ペットたちはどうしたらいいの?普段から何を準備すればいい?ペットたちに必要な「防災」とは?かわいい家族たち、しっかり守ってあげたいですよね。

「ひとと動物両方の看護師」として日々「人とペット」の安心・安全に取り組んでおられる西村さんに、ペットと避難するときの注意点、備えておくべきことについてうかがいました。

お話をお聞きしたのは…
災害支援動物危機管理士 西村裕子さんとミニチュアシュナウザー
災害支援動物危機管理士

西村にしむら 裕子ゆうこさん

動物支援ナース 代表

環境省発行「人とペットの災害対策ガイドライン」改訂委員

【保有資格・委嘱等】
  • 環境省発行「人とペットの災害対策ガイドライン」改訂委員
  • 修士(災害医療)/看護師/愛玩動物看護師
  • 医療的ケア指導員/ストレスチェック実施者
  • まちの減災ナース指導員(日本災害看護学会認証)
  • 災害支援動物危機管理士®(千葉科学大学 認証)
  • 防災士、赤十字救急法救急員、RECOVER BLS ALS

動物病院に約7年勤務後、人医療の看護師となり約6年勤務。その後、学校法人にて認定動物看護師を育成し教育の道へ。関東への上京を機に、防災・減災に関わり、現在2つの大学で非常勤講師をしている。

6年前に動物看護師の災害支援チーム「動物支援ナース」を立ち上げ、動物危機管理や啓発活動、被災地支援などを実施。

3年前に地元山口県にUターン。まちの減災ナース指導員として下関市の地域活動にも参加。人医療と獣医療両方の立場から、協会の教育構築事業に携わったり、自治体やペット事業者、飼養管理者向けのセミナーなどを行ったりしている。

もしもに備えて準備しておくもの

避難先によって、用意しておくものは少しずつ違います。まず「どこへ逃げるか」の選択肢を広げておきましょう。

自宅避難の場合

ローリングストックで、いつもより多めにペットのものを備蓄しておきます。

親戚・友人宅など

同じようにペットを飼っている親戚や、友人・知人宅なら、ペット用品をシェアし合えます。

車中泊の場合

高温に耐え得るものを事前に積んでおくことで、持ち出し品を減らすことができます。

指定避難所の場合

キャリーやクレート、ケージなどにペットが入っていることが大切です。折り畳み式のクレートもあります。

「ペットは屋外に」となった場合でも困らないよう、保温シートやブルーシート、固定できるテープ類や結束バンド、カラビナ、油性ペンなど、屋外でペットが飼育できる準備を、持ち出しリュックに詰め込みましょう。

その他、ペットの常備薬やお気に入りのおもちゃ、好きなおやつやフードも忘れずに。フードは、日頃食べ慣れているもののほかに、消化に良い、食べやすいものを入れておくと安心です。

ひと工夫で、人とペットの両方に使えます

人の用品は比較的早く届きますが、ペットの用品は一週間届かないことを想定して準備しておきたいものです。ウェットティッシュなどの衛生用品は、アルコールが入っていないものを選ぶと、人とペットの両方が使えます。臭わないウンチ袋やペットシーツは、人の簡易トイレとしても使えます。

避難用リュックを背負い、ペットキャリーも持った実演。リュックには持ち出しの重さの目安が書かれている
持ち出しリュックは、体重の20%以下、多くても30%以下を目安に。実際に背負って重さを確かめましょう。

そして何より、実際に背負って、公園などにペットと一緒に移動してみたり、「訓練しておく」ことが何より大切です。

公園でのペット同行避難訓練。参加者がキャリーやリードを持って集まっている
ペット同行避難の訓練。キャリーを持って歩くことから始めましょう。
ブルーシートを敷いた室内で、犬と飼い主が避難所を想定した訓練をしている
避難所を想定した室内訓練。知らない場所でも落ち着ける練習になります。
ひととペットの防災手帳の持ち出し品リストと備蓄品リスト
『マイ・タイムライン ひととペットの防災手帳』の持ち出し品・備蓄品リスト。うちのコに必要なものを書き足して使えます。

避難の際、気を付けること

1
ペットと離れ離れにならないこと

いちばん大切なのは、一緒に逃げること。離れ離れになると、戻ることも探すことも難しくなります。

2
リードは切れかかっていませんか?

災害時は、ダブルリードくらい慎重な方が安心です。

3
犬の鑑札と注射済票は、首輪に装着していますか?

ペットと離散したときに、飼い主の元に帰ってくるための大切な情報になります。迷子札も、名前と連絡先が読めるものを。

4
猫は、洗濯ネットに入れたうえでキャリーへ

猫も隠れた気持ちになりますし、万が一キャリーが壊れたときや開いてしまったときの脱走防止にもなります。猫は犬より保護されにくい傾向にあります。

5
クレートトレーニングは、犬も猫もとても大切

ペットも心の準備が必要です。首輪が安心なもの、キャリーやクレートが安全なもの、という練習から始めましょう。災害は待ってくれません。一日でも早くトレーニングを始めましょう。

名前「ふくまる」と書かれた迷子札と、チェック柄の小さなポーチ
首輪に付ける迷子札。離れてしまっても、飼い主のもとへ戻る手がかりになります。
柴犬のそばに並ぶペット用ウェットティッシュや消臭袋、ひととペットの防災手帳
日頃使い慣れた衛生用品と防災手帳。好きなおやつやグッズも一緒に備えておくと、避難先でも落ち着きやすくなります。

ペット同伴避難について

これは避難所にて、同じ室内にいることといった意味合いではありません。避難した場所で飼い主が、責任を持ってペットを飼養管理している状態をいいます。

知らない場所に連れてこられたペットは、周囲をとても警戒しています。そのようなペットのお世話ができるのは、飼い主さまだけです。

屋外の仮設スペースでクレートに入った犬と、そばで伏せている犬
屋外避難の例(自転車置き場)。クレートと水を用意し、飼い主がそばで管理します。
建物の階段下にケージやキャリー、フードを置いてペットを飼養している様子
屋外避難の例(階段下)。「ペットは屋外に」となったときのための備えが生きます。

ペットを連れて避難するということ

避難所など多くの人が集まる場所は、動物が苦手な方、動物アレルギーの方もいらっしゃるかもしれません。なので「自宅避難」も選択肢のひとつです。

ペットがいるからこそ「避難の選択肢をできるだけ多く持つ」こと。台風など事前に準備ができる場合、ペットと泊まれるホテルに行くことも、ペット同行避難です。地震の場合、広場や高台にペットとともに、一時的に避難することも、選択肢のひとつです。

命が守れたならば、その後の避難場所は、その時の被災状況で決めていくといった考え方です。空振りを恐れず、避難準備の警報が出た時点で、ペットと避難する行動を取るようにしましょう。

能登半島地震の被災地で、瓦礫のそばをキャリーを持った人とオレンジのベストの支援者が歩く
能登半島地震の被災地での活動。キャリーを持って歩く姿は、ペットと避難する現実を示しています。

ペット用防災グッズ

ペットが好きなもの、慣れ親しんだグッズ。あとは人のための「明かりと電源」。

明かりと電源は心の支えになります。飼い主さまが安心できることが、ペットを安心させることにつながります。

また反射板や蓄光素材のものが、持ち出しリュックやペットの首輪などに付いていると防犯になります。被災地に訪れるときにも付けて行きますが、暗闇にちょっとの光でもあることが、本当に安心につながります。

マイ・タイムライン ひととペットの防災手帳の表紙。ペットと家族の写真を貼る欄がある
防災手帳には、ペットと家族の写真を貼る欄も。迷子になったときの証明にもなります。

飼い主さんへのメッセージ

大規模災害や長期の停電などで、一番助かるのは、身近な方々の支援です。自助、共助、公助という言葉がありますが、私は「近助」をお勧めしたいです。近くの人たちと平時から関係性を築いておくことが、何よりの備えになります。そうしておけば、自身に何かあった際に、ペットが困らずにすみます。

また私たちのような動物の専門職とも、どうぞつながり続けてくださると嬉しいです。動物病院、ドッグトレーナー、ペットシッター、トリミングサロンのトリマーさんたち。エキゾチックアニマルは特に、ブリーダーさんやショップとも関係を築いておくと、有事の際の心強い味方になってくださるはずです。

ペット可の仮設住宅を訪問する動物支援ナース。ドアには「猫がいます」のステッカー
ペット可仮設住宅の訪問。「猫がいます」の表示は、支援する側にも飼い主側にも大切な合図です。

つながることは、備えること

動物支援ナース

写真・原稿:動物支援ナース(Veterinary Nursing Assistance Team)
参考:ひととペットの防災手帳

特集~防災を語る~へ戻る →