地震、大雨、台風…災害が起こったとき、自分たちの避難場所やグッズは確認、用意していても、ペットたちはどうしたらいいの?普段から何を準備すればいい?ペットたちに必要な「防災」とは?かわいい家族たち、しっかり守ってあげたいですよね。
「ひとと動物両方の看護師」として日々「人とペット」の安心・安全に取り組んでおられる西村さんに、ペットと避難するときの注意点、備えておくべきことについてうかがいました。
西村 裕子さん
動物支援ナース 代表
環境省発行「人とペットの災害対策ガイドライン」改訂委員
- 環境省発行「人とペットの災害対策ガイドライン」改訂委員
- 修士(災害医療)/看護師/愛玩動物看護師
- 医療的ケア指導員/ストレスチェック実施者
- まちの減災ナース指導員(日本災害看護学会認証)
- 災害支援動物危機管理士®(千葉科学大学 認証)
- 防災士、赤十字救急法救急員、RECOVER BLS ALS
動物病院に約7年勤務後、人医療の看護師となり約6年勤務。その後、学校法人にて認定動物看護師を育成し教育の道へ。関東への上京を機に、防災・減災に関わり、現在2つの大学で非常勤講師をしている。
6年前に動物看護師の災害支援チーム「動物支援ナース」を立ち上げ、動物危機管理や啓発活動、被災地支援などを実施。
3年前に地元山口県にUターン。まちの減災ナース指導員として下関市の地域活動にも参加。人医療と獣医療両方の立場から、協会の教育構築事業に携わったり、自治体やペット事業者、飼養管理者向けのセミナーなどを行ったりしている。
もしもに備えて準備しておくもの
避難先によって、用意しておくものは少しずつ違います。まず「どこへ逃げるか」の選択肢を広げておきましょう。
ローリングストックで、いつもより多めにペットのものを備蓄しておきます。
同じようにペットを飼っている親戚や、友人・知人宅なら、ペット用品をシェアし合えます。
高温に耐え得るものを事前に積んでおくことで、持ち出し品を減らすことができます。
キャリーやクレート、ケージなどにペットが入っていることが大切です。折り畳み式のクレートもあります。
「ペットは屋外に」となった場合でも困らないよう、保温シートやブルーシート、固定できるテープ類や結束バンド、カラビナ、油性ペンなど、屋外でペットが飼育できる準備を、持ち出しリュックに詰め込みましょう。
その他、ペットの常備薬やお気に入りのおもちゃ、好きなおやつやフードも忘れずに。フードは、日頃食べ慣れているもののほかに、消化に良い、食べやすいものを入れておくと安心です。
人の用品は比較的早く届きますが、ペットの用品は一週間届かないことを想定して準備しておきたいものです。ウェットティッシュなどの衛生用品は、アルコールが入っていないものを選ぶと、人とペットの両方が使えます。臭わないウンチ袋やペットシーツは、人の簡易トイレとしても使えます。
そして何より、実際に背負って、公園などにペットと一緒に移動してみたり、「訓練しておく」ことが何より大切です。
避難の際、気を付けること
いちばん大切なのは、一緒に逃げること。離れ離れになると、戻ることも探すことも難しくなります。
災害時は、ダブルリードくらい慎重な方が安心です。
ペットと離散したときに、飼い主の元に帰ってくるための大切な情報になります。迷子札も、名前と連絡先が読めるものを。
猫も隠れた気持ちになりますし、万が一キャリーが壊れたときや開いてしまったときの脱走防止にもなります。猫は犬より保護されにくい傾向にあります。
ペットも心の準備が必要です。首輪が安心なもの、キャリーやクレートが安全なもの、という練習から始めましょう。災害は待ってくれません。一日でも早くトレーニングを始めましょう。
ペット同伴避難について
これは避難所にて、同じ室内にいることといった意味合いではありません。避難した場所で飼い主が、責任を持ってペットを飼養管理している状態をいいます。
知らない場所に連れてこられたペットは、周囲をとても警戒しています。そのようなペットのお世話ができるのは、飼い主さまだけです。
ペットを連れて避難するということ
避難所など多くの人が集まる場所は、動物が苦手な方、動物アレルギーの方もいらっしゃるかもしれません。なので「自宅避難」も選択肢のひとつです。
ペットがいるからこそ「避難の選択肢をできるだけ多く持つ」こと。台風など事前に準備ができる場合、ペットと泊まれるホテルに行くことも、ペット同行避難です。地震の場合、広場や高台にペットとともに、一時的に避難することも、選択肢のひとつです。
命が守れたならば、その後の避難場所は、その時の被災状況で決めていくといった考え方です。空振りを恐れず、避難準備の警報が出た時点で、ペットと避難する行動を取るようにしましょう。
ペット用防災グッズ
ペットが好きなもの、慣れ親しんだグッズ。あとは人のための「明かりと電源」。
明かりと電源は心の支えになります。飼い主さまが安心できることが、ペットを安心させることにつながります。
また反射板や蓄光素材のものが、持ち出しリュックやペットの首輪などに付いていると防犯になります。被災地に訪れるときにも付けて行きますが、暗闇にちょっとの光でもあることが、本当に安心につながります。
飼い主さんへのメッセージ
大規模災害や長期の停電などで、一番助かるのは、身近な方々の支援です。自助、共助、公助という言葉がありますが、私は「近助」をお勧めしたいです。近くの人たちと平時から関係性を築いておくことが、何よりの備えになります。そうしておけば、自身に何かあった際に、ペットが困らずにすみます。
また私たちのような動物の専門職とも、どうぞつながり続けてくださると嬉しいです。動物病院、ドッグトレーナー、ペットシッター、トリミングサロンのトリマーさんたち。エキゾチックアニマルは特に、ブリーダーさんやショップとも関係を築いておくと、有事の際の心強い味方になってくださるはずです。
つながることは、備えること
動物支援ナース写真・原稿:動物支援ナース(Veterinary Nursing Assistance Team)
参考:ひととペットの防災手帳